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「フル内装フレームには、いかにキレイに組むかというのが腕の見せ所」エイジサイクル岩島啓太さんに聞く”EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット”について。

「フル内装フレームには、いかにキレイに組むかというのが腕の見せ所」エイジサイクル岩島啓太さんに聞く”EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット”について。

「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」は、その名の通り油圧ではなく機械式(ワイヤー引き)のディスクブレーキです。
油圧が全盛期なディスクブレーキですが、機械式には機械式の魅力があります。
本企画は、実際に「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」の取り付けを行っているメカニックや使用しているユーザーにインタビューを行い、製品の特長や使用感について伺います。
今回は、エイジサイクルの店主である岩島啓太さんと、「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」を使用しているNさんにお話しを伺いました。

◆ ◆ ◆

エイジサイクルについて

─エイジサイクルさんはいつから営業されているんですか?

岩島啓太さん(以下、岩島):約9年間務めたなるしまフレンド*を退社して、2015年に始めました。
エイジサイクルの場所は、元々実家のコーヒー屋の建物だったんですけど、その一部を間借りする形で始めました。
最初はコーヒーの販売も平行して行っていたのですが、徐々に自転車店が浸食していった感じですね(笑)。

─ショップチーム「MIVRO」も作られてますよね。

岩島:「MIVRO」はショップを始めた後、2015年9月に発足しました。
チームの人数は100人位います。ただ、実質活動しているのは3-40人位ですね。

─どんな活動をされているのですか?

岩島:レース活動がメインですね。日曜日には練習会を行っています。
今日も午前中に練習があって、湘南平に行ってきました。
今の時期は平坦のローテーションとかをやっています。

─Nさんはなぜエイジサイクルへ?

Nさん(以下、N):私は元々ショップ難民だったんですね。どこのバイクでも見ますとおっしゃってくださったのが、当時岩島さんところくらいだったので。
チームも持っていたということで、いい機会なので入らせてもらえませんか?と。
チームが出来て半年くらいですよね。
岩島:そうですね。かなり初期ですね。

─ショップ難民の方は結構いらっしゃいますよね。

N:メンテナンスを依頼するにしても、そこのお店で買ってないのに持ち込むのって心理的な負担が大きいじゃないですか。エイジサイクルさんにお電話したときに、対応がすごく良かったので、お世話になろうと。

─岩島さんは温厚な性格ですもんね。

N:走ると温厚じゃないんですけどね(笑)。午前中の練習も、ぶち殺されましたよ。
岩島:これでも最近は丸くなりましたよ。走りが。
一同:(笑)

─エイジサイクルはメンテナンス中心のショップということですね。

岩島:そうですね。SCOTT等の新車も取り扱ってはいるんですけど、メンテナンスメインを謳って始めた感じですね。
始めたころは、まだメンテナンス専門ショップってあまりなかったと思うんです。
あと、私は自転車を売るよりも、いじるのが好きなんです。お客様の自転車を見るのが楽しいですね。仕上がった自転車は、Instagramで載せています。
EQUALのタグ付けもしているので、それを見て、今回の企画をされたんじゃないかなって。

─その通りです。

エイジサイクルの入口

「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」導入の経緯について

─「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」を取り扱おうと思ったのはなぜですか?

岩島:僕はすぐ注目していて、初期ロットを5セットくらい仕入れました。これは見た目からしてカッコいいなと。あとは、グロータックさんを信頼して買っちゃいましたね。

─見た目は狙ったデザインではなくて、剛性を確保しながら軽くするために削っていったらこの形になったんですよ。

岩島:そうなんですか?
N:機能美ですね!

─Nさんの新車にEQUALを導入して頂いたということですね。

岩島:そうですね。一部パーツを載せ替えで組んでいます。油圧だとレバーから変えなければならないですが、機械式ならばフレームとブレーキとホイールがあれば組めますので、移行がしやすいです。ただ、今まで他社製の機械式も使ってはみたんですけど、引きが重いというか、バネが強いんですよね。
N:引きが重いとせっかくのディスクがもったいないですね。

─全て油圧にした場合は、価格ももう一回り高くなってしまいそうですね。

N:前のバイクからほとんどのパーツを持ってこれたのは良かったですね。その分、岩島さんにはお手間とご迷惑を掛けたと思うんですけど。
自分でも色々計算して、このバイクの重量も前のバイクからほとんど変わらないことがわかったので、それがEQUALブレーキ導入の決め手の一つでした。
岩島:重量もパーツごとに計ってみて、油圧のブレーキシステムとほぼ変わらないということがわかりました。ホースよりワイヤーが重い分レバーが軽いので、重量面では遜色ないですね。ハンドル部分が軽くなるので、感覚的にはEQUALの方が軽いかもしれません。ケーブルをもっと軽いものが採用出来れば、機械式の方が軽さには分があるのかなと。

「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」の使用感について

─どれくらい使用されているんですか?また使用してみてどうですか?

N:半年近いです。使ってみて全く不満はなくて、ワイヤー引きでもこんなに効くものなんだなっていうのが率直な感想ですね。
あとは自分で手入れが出来るというのが良いですね。パッドの残量をこまめに気にするようになったというのも、 むしろ良かったと思います。油圧だと知らない間にパッドがなくなっていると聞いていて、実物のなくなったパッドも見せてもらって「怖!」って思っていたので。
岩島:油圧だと自動調整なので、気が付かないうちになくなっちゃってますからね。
N:効きに関しては、峠を下るときも、指二本で十分で感動しました。こんなに効くんだって。リムブレーキの時は、指三本で下っても疲れてしまいましたから。
岩島:私も糸魚川の練習で、EQUALブレーキは使いました。出先でトラブルになると油圧はどうにもならないので、トラブルに強い機械式であるEQUALブレーキを使ったんですけど、全然違和感はないですね。普段は油圧を使っていますが、油圧と遜色ない性能だと思います。
輪行の人にもいいと思います。エアーが噛むこともないので。

─逆にEQUALブレーキ、ネガティブな面はありますか?

岩島:機械式なので、雨の200キロ超え等の長距離レースで、パッドの減りがどうなるのかなという不安感はありますね。レバーがスカスカになってしまう可能性があるので。

─雨の長距離レースは厳しいかもしれませんね。

「EQUAL 機械式ディスクブレーキキャリパーセット」の取り付けについて

─今回、取り付けていただいたNさんのSCOTT ADDICTは、シフトもブレーキも機械式かつ、ケーブルフル内装式とのことですが、これの組んだ時について教えてください。

岩島:DedaのVINCIというハンドルで組んでいます。
N:純正じゃないから大変でしたよね。
岩島:EQUALブレーキを取り付けた中で、一番大変だったのでこうして来てもらいました。
N:すみませんでした(笑)。

─ソフトアウターとハードアウターの2種類を繋いで使う仕組みですが、どこでつないでいるんですか?

岩島:ソフトアウターはハンドルからヘッドチューブ付近まで使い、そこからハードアウターを使用しています。ハードアウターが固すぎてステム部分は、通せなかったです。

─やっぱり油圧と比べて組みにくかったですか?

岩島:ケーブルを通すのは同じなので。逆に言うと、一本で通すのではなくて、両側からアプローチして繋げばいいので、むしろ楽な面もあったかなと。

─油圧は油圧で大変ですよね。

岩島:大変ですね。原因がわからないトラブルが起きたりします。ブリーディングのエア抜きが大変で、レバーやキャリパーに入りやすくて。ひっくり返したりコンコン叩いたりして、時間をかけないとエアは完全には抜けません。他にも、ピストンをお客様のほうで雑に押し込んだりすると、斜めになっちゃうのか、綺麗に出てこないんですよね。だから、油圧はすごい繊細だなと。

─EQUALブレーキはフル内装式で組めますか?という問い合わせも来ているのですが、フル内装式は各社様々なので、答えられないというのが正直な所だったんです。

岩島:ハンドルによって組みやすさが変わりますが、難しいかそうじゃないかの差だと思います。フレームメーカーがフレーム用にハンドルステムを開発しているものは、コラムのシステムに合うように出来ているので多少組みやすいですね。SCOTもSyncrosというハンドルは組みやすく出来ていますね。今回のDedaとの組み合わせで組めれば、大体のもので組めるとは思います。

─引きを軽くするために、バネは最低限の強さにしているので、フル内装式の場合、ちゃんと組まないと摺動抵抗でバネが戻らなくなってしまう場合*もあるんです。

N:そうなんですか?戻りに関して気になったことないです。
岩島:ワイヤーを綺麗に組まないと、戻らないでしょうね。いかにキレイに組むかというのが腕の見せ所ですよね。
N:引きの重さも気にならないですよ。前のリムの時とほとんど変わらないです。

*(2022年2月現在)オプションパーツとして強化バネを開発中です。

─(SCOT ADDICTのレバーを操作して)フル内装ですが、引きが軽いですね。
岩島:ハンドルシステム的に、曲がりがかなりキツイんですけど、なんとか行けました。

ケーブルの取り回しを説明する岩島さん

グロータックに期待する事

─EQUALのブレーキとは関係ありませんが、今後のグロータックに期待する事はございますか?

岩島:ホイールは開発しないんですか?ディスクブレーキになってから、リムにブレーキが触れないので、カラーリングが選べると面白いのかなと思うんですけど。昔、カンパニョーロのシャマルに銀リムってあったじゃないですか。あんな感じで、自分でリムもスポークも全部銀に塗って組んでみようかなと。
今は真っ黒なホイールしかないので。まあ一番無難とはいえ、リムのカラー展開はディスクならではの楽しみになると思うので、ニッチなところに手が届くといいですね。
N:このフレームであれば、前がパープルで、後ろが青のグラデーションに合わせたホイールが用意出来ればいいなって思いますね。

─ホイールの企画もあるので、検討していきたいと思います。ありがとうございました。

岩島さんとNさんとNさんのロードバイク

岩島啓太
2015年2月約9年間勤めたロードバイクプロショップ「なるしまフレンド」を退社。日本の数々のトップレースを経験。
現在、自転車をより楽しむ方法を模索中。
現在自転車のソフト面(サイクリング、レースの楽しみ方、メンテナンスの仕方)を充実させるために、スポーツバイクメンテナンスショップ「エイジサイクル」の店主とショップチーム【MIVRO】を率いている。

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