fbpx

ブルカットメタル開発記録

ブルカットメタル開発記録

(本記事は、代表の木村が会社設立前にブログとして更新していた記事です。記事作成日:2010/9/17)

ローラー練習。。。
ゆっくり乗っても暇だし、頑張ると強烈にしんどい。ついでに、暑いし。
でも、走力を付ける練習としては、なくてはならないものです。
弱い私が言うのもなんなんですが、実走のみ、実走+ローラーを比較すると、確実にローラーをトレーニングに入れた方が効果があります。
着替えや、練習場所までの移動などを考えると効率はいいですし。
問題は音と振動。。。
音は、扉を閉めてしまえば結構防げてしまうのですが、振動が問題です。
家族からのクレーム、マンションなど集合住宅だと、いつ苦情が入るかドキドキです。
精神的に不健康です。
そこで、ローラーの防振をなんとかしたい!
ということで、このプロジェクトがスタートしました。

秋月の3次元加速度センサー

試しに、ローラー台の負荷ユットに3次元加速度センサーを取り付けて、振動データをPCでデータを取り込んでみました。
結果はサンプリングレート(ログレート)が低すぎて、話になりませんでしたが解析方法など、いい勉強になりました。

次はちゃんとした測定器を作りましょう。

1_4444_1


吹っ飛んだ!!

ローラー台の振動を測定するにあたって、どうしてもペダリング時の左右の揺れもデータに入ってきます。
まぁちょっとムリがあるかなーと思いつつ、旋盤にスプロケット付けて、回してみました。

ぐぁーーこえーー旋盤が吹っ飛びましたw

失敗ですw
素直にペダリングの周波数をソフトでカットしましょう。
100rpm*左右=200rpm/60=3.3Hz くらいですかね。

img_2318

振動測定器を作る

振動の勉強も兼ねて、振動測定器を作ってみました。
と、言っても3次元加速度センサーの電圧をA/Dコンバーター、USB経由でPCに取り込むだけw
まぁセンサーはちょっといいのを使います。

振動ピックアップはアルミケースに樹脂でモールドしました。
これでちょっとは精度があがるでしょう。
どっちかと言うと、制御ソフトのほうが苦労しました。
なんとか、ログレートで40kHzほどで測定が出来る様になりました。

img_2336


振動値の絶対値は校正をしていないので、正確性には掛けますが、相対比較であれば問題ないようです。

測定測定!

測定器が完成したところで、ジャンジャンバリバリと測定していきましょう。
いろいろなパターンで振動をXYZ方向で測定していきます。

そのままだと、数値の羅列なんで、解析も進めます。
フーリエで見ると面白い結果が見えてくるのですが、振動が持っているエネルギー値を見ていくと、より振動の特性が見えてきます。
普段見えないものが見えると面白いです。

image11

固定ローラー専用タイヤ

試しに、半径方向に精度が非常に高い、固定ローラー専用タイヤを作ってみました。

ローラー台から出る振動ってどこから来るのでしょう?
前回、測定した振動データを解析すると、ひとつは負荷ユニットから発生していると思われる周波数の振動を読み取れます。
それ以外は?
予想される発生源のひとつはホイル。ホイル(タイヤ)の真円度はあまり良くありません。
リムの真円度はそこそこあるのですが、タイヤを装着すると、物によってはかなり悪くなるようです。

市販のタイヤをレーザー測長計で測ります。
このタイヤは予想より真円度はあります。が、振動の原因となくらいの凸凹です。
そこで、厚み方向に精度が高い専用タイヤを作って、振動を測定してみました。

負荷ユトットに接する部分は平らです。
重量は900gです!
これくらい重さがあると、慣性もすごくて、実走感がありますね。

測定の結果ですが、いまいち効果が薄いです。。。。
タイヤの精度を上げると、今度はリムの真円度が問題になるようです。
しかし、いい勉強になりました。

丸断面のタイヤも作ってみました。

データ的には上のタイヤと変わりませんでした。

防振ゴム

振動データを元に、防振ゴムを作ってみました。
と、言っても作ったのは、防振専門のメーカーです。
防振専門のメーカー様に協力を依頼し、データを元にサンプルを作って頂きました。

img_2368

面積と高さが違う凹凸が優れたバネ特性を生みます。
早速、アルミ板を切り出してテストです。
振動データーの他に、音のデータも取ってみます。

ゴム系 vs スポンジ系

前回、防振専門のメーカー様の協力で作った、サンプルの他に、独立セル構造のウレタンスポンジもテストしています。
ゴム系 vs スポンジ系 といったところでしょうか。
どちらも、防振材としては優越つけがたいのですが、ローラ台専用として評価した場合、スポンジ系の方が相性がいい結果が出てきました。

ゴム系で振動吸収性を上げようとした場合、どうしても「やわらかめ」(剛性がない)になりますが、独立セル構造のスポンジを使用した場合、ある程度の剛性を得られます。
剛性がない土台の上にローラーを設置しると、ローラー自体が揺れ放題になってしまい、その振動がフレームに伝わり、音が大きくなってしまう場合があります。

高い剛性と振動吸収性という反する性能の両立が必要です。

当然、スポンジの厚さや硬度で性能が違ってきます。
多くのテストを行い、最適なスポンジ厚と硬度を得ることが出来ました。
このまま販売してもいいかな。と思うのですが、いまいち性能に納得出来ません。
現在、新しいアプローチで性能を上げる試みを行っています。
うまく行けばいいのですが。
(スポンジのサンプルが山になってます、、)

新しいアプローチ

ローラー台の振動の発生源のひとつ、負荷ユニット。
この元からの振動を減らすことが出来れば、かなりの効果があると考え、フライホイルの反対側にダイナミックダンパーをつけてみました。

相当数のパターンのダンパーでテストしてみまいたが、結果はいまいち。。。
ある速度域では、最大で振動を50%まで減らすことが出来ました。
が、少し速度域が変わると200%まで振動が増す。
タイヤを押し付けているという、特殊な構造なので、共振域を計算してもその通りにならない。
んーーーーダメだな。
ローラー台の振動。これはなかなかの強敵です。

img_2381

なんとか試作品

なんとか試作品が完成しました。
防振材のデーターとダイナミックダンパーの原理を組み合わせてかなりの性能の物が出来ました。

ローラーの脚の下に設置する防振パッドです。
独立セル構造のスポンジと金属の錘を組合わせた物です。
建物の床に共振して激しく揺らす、低い周波数をダナミックダンパー効果により、効果的に取り除くことに成功しました。
25km/h~50km/hの速度で平均70%ほどの振動除去を確認できました。
(床にローラー台を直接置いた場合と比べて)

今回はかなり苦労しましたが、かなりいい物ができたのではないかと思っています。
特に、日本の木造住宅には最適と思います。
測定データも10GBを超えてしまいました。
これから、量産のお仕事です!

ちなみに

当然、他社さんの物との比較もやってます。
ローラー台と同じM社製トレーニングマットでは、当社のテスト方法で8%ほどの防振効果でした。。。
脚の下に保護メタルのような板を敷くとかなり効果が上がります。
ユーザーさんはお試しあれ!

量産品

室内トレーナー専用の防振パッドです。
やっと、量産品が出来上がりました。
足が当たると危ないので、角は丸くしました。

img_2434

ダンパーメタルにより低速~高速までの幅広い振動を吸収します。
25~50km/hの振動を平均70%の除去※に成功しました。
※トレーナーを床に直置きした場合と比較した当社テスト結果

img11

これはローラー台を床に直置きしたときの床振動データです。スピードは25km/h


img21

これはブルカットメタル使用時の床振動データです。スピードは25km/h

製品情報カテゴリの最新記事