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「身体の使い方がわかっていれば、ローラー台は何でもいい」自転車トレーナー福田昌弘さんが語る、実走につながるローラー台でのトレーニングとは【前編】

「身体の使い方がわかっていれば、ローラー台は何でもいい」自転車トレーナー福田昌弘さんが語る、実走につながるローラー台でのトレーニングとは【前編】

「実走とローラー台は全然違う」
「固定ローラーには実走感がない」

自転車の室内トレーニングにおいて、よく議題に上がるこのテーマ。
特に、新型コロナウイルスによって、このテーマを再認識した方も多いのではないでしょうか。

グロータックは、自転車のスキルが向上するローラー台を作り出すため、日々開発に励んでいます。
そこで、代表の木村と交流もある自転車トレーナーの福田昌弘さんに、グロータック製品の実走への有効性を伺うため、インタビューを行いました。
しかし、その回答はグロータックの思惑とは違った回答になることに・・・。

「身体の使い方がわかっていれば、ローラー台は何でもいい」

自転車トレーナーである福田さんが語る、実走につながるローラー台でのトレーニングとは?

前編は、福田昌弘さんの人物像や自転車を乗り始めたキッカケ、使ってきたローラー台等について伺いました。

前編 | 中編 | 後編

◆ ◆ ◆

福田昌弘さんの「自転車以外」の一面とは?

福田さんは自転車以外では、普段はどういったことをされている方なのですか?

福田昌弘さん(以下、福田):それは非常に難しい問題ですねー。

グロータック 木村(以下、木村):そこ、事細かく説明していただきたいくらい非常に謎なんですよ。是非知りたい。

福田:別に隠してはいないですよ(笑)。本職はソフトウェアエンジニアで、関西医科大学大学院の医学研究科で勉強もしています。
大学院も情報工学で修士課程を卒業して、ソニーに2年間くらい勤めていました。当時、カーオーディオの開発部門にいたのですが、すでにMP3とかが出回ってる時期に「HDDだと壊れた時に保証が出来ない」と品質管理部門が言っていて、開発が進んでいない状況でした。 まだ若かったですし、大きな会社の動きの遅さになんとなく不満を感じていたんですよね。 そんなときに、大学時代の友人が勤めているシリコンバレーのインターネット関係の企業が日本法人を設立するから手伝ってくれないかと誘いがあり、アメリカに行ってインターネット系のエンジニアとして働き始めました。
その会社はウェブ上でグリーティングカードを送るサービスを運営する会社だったので、クリスマスにアクセスが30倍くらいになるんですけど、今はクラウドのサービスがあるので簡単にスケーリングできることですが、当時はそういうサービスはなかったので、自分で似たようなシステムとサーバーを作ってみたり、ネットワークの高速化等、そんな仕事をしていました。
その後、会社ごと楽天に買収されたのですが、なんとなく辞めるに辞められずに、気がついたら10年以上も働いていました。

木村:あんまり仕事してなかったの?

福田:一応仕事はしましたよ(笑)。ですが、何かあると自動化するツールを作ってしまうので、やればやるほど仕事がなくなってしまうんですよ。一時期はそのデーターセンターへメモリーの交換するためだけに通っていた時期もありますね。

自転車に乗り始めたのは社会人になってから

そこから、自転車とはどのように関わったのですか?

福田:自転車に乗り始めたのは、楽天に買収された時期くらいですね。会社が家から微妙な距離になったこともあって自転車通勤をはじめたんです。そのうちに成り行きでレースとかに出ちゃった感じですね。

本格的に始めたのは社会人になってからということですね。

福田:30歳くらいですかね。実際、自転車を始めるのは社会人になって落ち着いてからという方も多いと思います。だからこそ、今ハムスタースピンでトレーニングコーチをしても、その人が何に悩んでいるのかということが大体わかるんです。

木村:僕にはよくわからないなあ。

福田:若いころから自転車競技をやっている人*は、センスで乗り越えてきてますからね。でも、普通の人はそうはいかないんです。僕はこれを「日本語で話すか英語で話すか問題」と言っているんです。後で(中編)詳しくお話します。

*木村は中学生から自転車をはじめ、高校時代はトラック競技でインターハイ、国体など出場し、社会人になってからはJPT(なるしまフレンド所属)でも走っていた。 

福田さんと木村は以前からお知り合いだったと思うのですが、どこで知り合ったのでしょうか?

木村:なるしまフレンドかな。

福田:そうですね。ROPPONGI INSIGHT*でも話しましたが、なるしまフレンドというお店は本当にいろんな方が通っていまして、お店にいると次から次へといろいろ紹介されるんですよ。

*ROPPONGI INSIGHT:福田さんが所属するチーム「Roppongi Express」が運営するポッドキャスト番組。第7回には、木村も出演。

自転車を買ったのも、なるしまフレンドということですか?

福田:あんな怖い店で自転車買えないですよ(笑)。当時の神宮店はかなり狭く、いつも人が多くて、誰が店員かわからないんです。だから聞きたくても聞けない。この店で買うのは無理だと思って違う店で買いました。なぜ、なるしまフレンドに行っていたかというと、練習会に参加したかったんです。なるしまフレンドは面白くて、最初に登録費用を払うと、ジャージ一枚もらえて、永久会員だったんですよ。

木村:確かにジャージもらえたね。なつかしい。

色々ローラー台を試してきた

それでは、いつ頃から自転車に熱が入ってきたんですか?

福田:どちらかというと、始めたころのほうが必死にやっていたんですよ。僕も早くからパワートレーニングを取り入れていて、当時のパワーメーターは高くて買えなかったんですが、E社が出したパワーが計れるローラーがあったんですが、これがまたひどいもんで(笑)。パワーというかスピードだったんですけどね。

木村:ありましたありました。自分も持っていましたよ。デジタルのメーターが付いてくるやつでしたよね。

福田:そのローラー台は、使っているうちに負荷ユニットの軸が外れてしまって、常に999W出てしまって(笑)。ただ、それでもかなり画期的だったんですよ。そもそも、当時はローラーに乗っていてスピードを表示させることさえ出来ない人が多かったんです。なぜかというと、昔のスピードメーターは有線だったので、後ろまで伸ばすのは大変なので、フロントフォークに付けるやつが多かったんです。だから、固定ローラーにすると後輪のスピードが計れないので、なんの値も出せないんです。パワーもなければ、スピードもない。だから心拍数のみ見ながら練習するみたいな感じだったので。すごい世界でしたよね。

木村:確かに、ローラー練習は心拍計メインでやってて、スピード見るならオプションのロングコード仕様のものか、ケイデンスと同時に計るやつくらいしかなかったしね。

当初はメインはそのローラーを使ってトレーニングをされていたんですか?

福田:実はローラーもたくさん使ってきてまして、最初はT社の固定ローラーを買ったと思います。なぜそれを買ったかというと、プロ選手のトレーニングビデオが付いてくるということで、それにしたんですよね。今振り返っても、このローラーは高負荷もかけられて良かったと思います。そのあとに例のE社のものを買いました。

木村:自重式でフルードのやつだよね。

福田:そう、それです。これ使っていてわかったのが、フルード式というのは熱ダレするんですよね。練習しつづけてユニットの温度が高まってくると、温度が低いときと相対的に負荷が低くなるにも関わらず、スピードからパワーを計算しているため、出てるパワー値は高くなってしまうわけです。だから、その時「俺すげえパワー出せるじゃん」って思ってしまうんです。

木村:終わった後、全然冷えないから火傷するというね。恐怖の片づけが始まる。

福田:おまけにフルードが漏れて壊れるっていうこともありましたね。

木村:そのフルードの負荷が良くなくて、ずっと自転車で泥沼を走っているような感覚だった。

福田:そうでしたね。それ以外にも、代表的なメーカーのトレーナーはほとんど持っていたといっても過言ではないです。スマートトレーナーの先駆けである、コンピュトレーナー*とかも。

木村:あれは画期的だったよね。

福田:コンピュトレーナーの負荷ユニットは小さい割にはよくできていました。負荷再現性も高かったですし。FTPテストとかMAPテストとかしていましたよ。ヤフオクで1万円くらいで手に入れました。

*コンピュトレーナー:専用のローラー台とパソコン等を繋げて、パワーや心拍数等を記録することをはじめ、トレーニングメニューの再生やペダリングの解析、バーチャルライド等を行うことが出来た製品。

面白いですね。固定ローラーは構造としてはシンプルなものだと思うのですが、ずっと進化してきたんだなと。

木村:そうなんだよ。某社なんて酷くてさ~(過去のローラー台の批判が続く)。

木村さんは、いろいろなローラー台を使ってきたからこそ、自分でローラー台を開発したということがよくわかりました(笑)

福田:今の人は、最初からある程度良いものが使えているからこんなものかと思っていると思いますが、ある程度前から使っていたひとはやっぱり不満はあったと思いますよ。

それでも固定ローラーもこうして進化してきたにもかかわらず、やはり実走との違いという問題は解消されないものなのですね。

福田:そこの原因の一つとしては、実走での抵抗の多くは「空気抵抗」なんですよ。それを違う方法で負荷を再現しようとしているから、違和感を覚えやすいわけです。例えば、ワットバイクは割と自然なんですけど、あれは負荷ユニットが羽なんです。空気抵抗で負荷を再現しているので、違和感が少ない。また、もう一つが重要で、そこにグロータックの製品、特に4本ローラーのGT-Roller Q1.1の意味が出てくる面でもあります。

(中編へ続く・・・) 

中編は、本インタビューのテーマである「実走に対してローラー台の弊害とは何か、自転車にはどう乗ると良いか」を中心に伺っていきます。

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福田昌弘
トレーニングスタジオ「ハムスタースピン」代表、日本スポーツ協会公認自転車コーチ。
大学院でペダリングの研究も行ない、海外の学会などでも発表を行っている。ただ自転車に乗るだけではなく、そのために必要な動作の解析やトレーニングを得意としている。

福田昌弘 著 『ロードバイク スキルアップトレーニング』も好評発売中!

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